このアプリについて
木造の小梁(根太・小梁・床梁など)を、等分布荷重(固定+積載)と任意の追加荷重に対して、
曲げ・せん断・たわみの3項目で検定するツールです。建築基準法施行令・木質構造設計規準(日本建築学会)に基づく
長期/短期の許容応力度設計で、単純梁・片持梁に対応します。
1つの部材を「1ケース」として扱い、複数ケースをまとめて管理・計算書出力できます。
使い方(基本の流れ)
- 入力フォームに寸法・荷重・材料を入力すると、右下の計算結果(応力・許容応力度・検定比・たわみ)と左の荷重形の図が即時に更新されます(「計算実行」ボタンは不要です)。
- 左上の「荷重形(固定+積載)」図は入力から自動生成されます。「荷重形(追加荷重)」の「編集」から、集中荷重・分布荷重を任意で追加できます(基本の等分布に上乗せして応力計算されます)。
- 内容が固まったらツールバーの「✓ 確定」で検討部材一覧に追加されます(確定するまで一覧には残りません)。一覧の行クリックで再編集、↑↓で並び替え、×で削除します。
- 「🖨 計算書出力」で現在のケースのみ/確定済み全ケースを選びA4計算書(省略モード)をブラウザ印刷・PDF保存できます。入力一式は「💾 保存」でJSON保存、「📂 開く」で読込できます。
入力のポイント
- 断面 B×D は mm。入力欄クリックで標準寸法(105〜480)の候補を選べます。
- 固定荷重・積載荷重は N/m²。積載荷重は令第85条により強度計算用とたわみ計算用を別々に入力します。「選択」でライブラリから呼び出せます。
- 使用材料は 材種 → 樹種 → 区分 → 等級 のカスケード選択で基準強度 Fb/Fs/E が自動設定されます(無等級材・製材・集成材に対応)。「強度・E を手動で上書きする」で直接入力も可能です。
- 「梁自重を自動計算する」を ON にすると、比重 ρ × 断面積から梁自重を等分布に上乗せします(左上の図にも反映)。
- 荷重種別(長期/短期)で許容応力度の割増係数が切り替わります。たわみは変形増大係数でクリープを略算します。
(1) 全体フロー
次の順で計算し、3項目すべてが OK のとき総合判定を OK とします。
- 荷重算定 — 等分布荷重 w(固定+積載、必要に応じ梁自重)と追加荷重
- 断面性能 — 断面積 A、断面係数 Z、断面二次モーメント I
- 応力算定 — 最大曲げモーメント M、最大せん断力 Q、最大たわみ δ
- 許容応力度算定 → 検定(曲げ・せん断・たわみ)
(2) 荷重の算定
w = (DL + LL) × p ( + 梁自重 ) [N/m]
梁自重 = ρ × A / 10⁶ × g [N/m]
DL=固定荷重・LL=積載荷重 [N/m²]、p=小梁間隔 [m]、A=B·D [mm²]、ρ=比重 [tf/m³]、g=9.80665。
強度計算には LL強度、たわみ計算には LLたわみ を用いて w をそれぞれ算定します。[令第85条]
(3) 断面性能(長方形断面)
A = B·D [mm²]
Z = B·D² / 6 × (Z有効率) [mm³]
I = B·D³ / 12 × (I有効率) [mm⁴]
断面有効率(I・Z)は欠込み等を考慮する低減係数です(標準は 1.0)。
(4) 応力算定
基本の等分布荷重に追加荷重を重ね合わせ、荷重を多点に離散化して数値積分で M(x)・Q(x)・δ(x) を求め、その最大値を採用します。
等分布のみの場合は次の閉形式と一致します。
単純梁: M = wL²/8 , Q = wL/2 , δ = 5wL⁴ / (384EI)
片持梁: M = wL²/2 , Q = wL , δ = wL⁴ / (8EI)
EI は断面二次モーメント I と材料定数 E から算定します。
「設計応力を直接入力する」を選ぶと、M・Q を手入力値に置き換えます。
(5) 許容応力度
fb = Fb × c , fs = Fs × c
長期 c = 1.1 / 3 ≒ 0.367 , 短期 c = 2 / 3 ≒ 0.667
許容曲げ Ma = fb·Z , 許容せん断 Qa = fs·A / 1.5
Fb(曲げ)・Fs(せん断)は樹種・等級ごとの基準強度。割増係数 c は荷重種別(長期/短期)で切り替わります。
(6) 検定
曲げ: σb = M / Z ≦ fb → σb / fb < 1.0
せん断: τ = 1.5Q / A ≦ fs → τ / fs < 1.0
たわみ: δ合計 = δ × 変形増大係数 ≦ L / (制限値)
せん断応力は長方形断面の最大値で、平均せん断応力の 1.5 倍になります。
たわみ制限値は L/250(床・標準)などをプルダウンで選択します。
(7) 判定
曲げ・せん断・たわみの検定比がいずれも 1.0 未満のとき総合判定を OK とします。
計算結果表では各検定比のセルが OK=緑、NG=赤で表示されます。
※ 連続梁・両端固定梁、横座屈・支圧(めり込み)・接合部の検討は本アプリの対象外です。
たわみのクリープは変形増大係数による略算です。詳細はそれぞれ別途確認してください。
(参考)
- 建築基準法施行令(第85条 積載荷重 ほか)
- 日本建築学会「木質構造設計規準・同解説 ―許容応力度・許容耐力設計法―」
- 木材の基準強度に関する告示(平12建告第1452号 ほか)